身近な人との死別の経験を綴ったエッセイ。
といっても、悲壮感はあまりなくとても読みやすい。
「死とお金」「死と尊厳」など、自分が死んだ後のことを
より一層考えさせられた。
特に『永遠の保留』に出てくるSNSの更新が止まり、
安否がわからない知人の話が凄く現代的だと感じた。
FacebookやTwitter(当時)、あらゆる更新が途絶えてしまった
知人、Dさん。
日常生活が忙しい、何らかの理由で更新が出来ていなだけだろう
と思っていたが、数年経つと亡くなった可能性も考えないわけには
いかず、かといって確かめられる共通のリアルな知り合いもいない。
彼の生死が永遠の保留状態になってしまいモヤモヤしてしまう。
これには後日談があり決着がつくのだけど、
誰にでもネット上だけで繋がっている本名も
住んでいる場所も知らない知人(友人)が何人かはいるのではないだろうか。
そう言った人たち、もしくは自分自身に何かがあった時
知らせる方法はない。いまのところ。
重い病気にかかった人に、善意で治療法や
生活についてのアドバイスが本人が処理しきれないほど届く
のもあるあるなんだろうなあと思った。
素人にできることはほぼない。
『針中野の占い師』はホラー風にも読めるので
ゾッとした。
とても良いエッセイだったので、定期的に読み返したいと思う。