ひきこもり図書館
~部屋から出られない人のための12の物語~
ひきこもり当事者のエッセーを集めたものかと思ったら、
文学アンソロジーであった。
どれも短い文章なので、好きな所から適当に読んでも
大丈夫。
カフカは小説ではなく書簡集なのだけど、
物凄く外出と人が嫌いで草。
でもこんなに人に会いたくない!と主張していても、
恋人と婚約者はいる不思議。
親が決めた相手だったのかしら。
(結局独身のまま亡くなるのだけれど)
萩原朔太郎の「死なない蛸」はなんともやるせなく、
ほの暗い気分にさせる超短編。
梶尾真治は毒のあるショートSFとして普通に面白く、
あまりひきこもり感はない。
好きなのはロバート・シェクリィの「静かな水のほとりで」。
『月に囚われた男』みたいで良い。
今回、この本を読んで、自分は意外とSFが好きかもしれないと気付いた。
いままで「SFって
何となく面倒くさそう」と思って
避けていたけれど。
自分はパニック障害を患っていることもあり、
宇宙船などの閉鎖空間は絶対に耐えられないし、
適度に外へ出て自然と触れ合うのが好きだなと思った。
最初にひきこもっていた時期も、散歩は好きだったし、
できれば色々な場所へ行きたいとずっと願っていた。
カフカの様に、「地下で誰かが食事を持ってきてくれるのを
ひたすら待つ」生活は無理だな…